
Arisa Nakabayashi "Controlled Blue and Wild Blue", 2026
Curation Note
本展は、感覚の即時性と、それを見つめる距離とのあいだに生じる緊張の中で制作を行う東アジアの女性作家たちを紹介するものである。
異なる時間と空間、感覚と視線は、ひとつの方向へ収束することはない。それぞれの作品は異なる距離と密度を保ちながら存在し、一つのブースの中で複数の感覚的な座標を形成する。
ナカバヤシアリサ (Japanese b.1992) は、植物や風景をモチーフに、人間の感覚や存在のあり方を問い続けている。森の内部に潜む微かな気配や生命のリズムを捉えながら、同時にそれをひとつの風景として俯瞰する視線を提示する。その作品は、自然と人間、内側と外側のあいだに横たわる距離を静かに浮かび上がらせる。
ナム チョイ (Korean b.1978) は、身体に近い距離から立ち上がる原初的な生命力と緊張感を、鮮烈な色彩と豊かな物質性によって描き出す。感情や身体感覚は画面の中で増幅され、観る者の感覚へ直接的に働きかける。彼女の作品は、衝動と秩序、身体と空間のあいだに存在する距離を再構築する。
戸田沙也加 (Japanese b.1988) は、美しさと隣り合わせにある醜さの世界観を、主に少女や動物のかたちを通して絵画として描き出している。今回は大学時代に制作した《Where Beauty Resides》シリーズを起点に、そのイメージを現在の制作へと接続した新作をあわせて展示する。美しさと醜さ、弱さと強さ、男性性と女性性といった両極の要素が内包された両義的な存在として表現している。本シリーズは、日本社会におけるジェンダーをめぐる問いを繊細に映し出す作品として、タカハシコレクションにも収蔵されている。
感覚と距離は、互いを排除するのではなく、緊張の中で共存している。《A Point of Many Distances》は、その状態をひとつの結論としてではなく、異なる感覚と時間が重なり合うひとつの条件として提示するものである。
※《A Point of Many Distances》は、アルゼンチンの作家ホルヘ・ルイス・ボルヘス(Jorge Luis Borges)の短編小説「アレフ(The Aleph, 1945)」をひとつの出発点とした展覧会である。ボルヘスが描いたアレフとは、世界のあらゆる場所と時間、異なる視点が、消えたり混ざり合ったりすることなく、ひとつの点の中に同時に存在する空間である。本展はこの概念を起点に、異なる感覚と時間、視線と距離がひとつの空間の中で共存する状態を探る。
■展示概要
・期間|2026 年 10 月 2 日 - 10 月 4 日
・会場|マリンメッセ福岡B館 福岡県福岡市博多区沖浜町2-1
・スケジュール l
VIP View
10/1(木) 13:00 - 19:00
Public View
10/2(金) 11:00 - 19:00
10/3(土) 11:00 - 19:00
10/4(日) 11:00 - 18:00
・Inquiry|infoalphacontemporary@gmail.com
Curation Note

Namu Choi, "My Staghorn Fern", 2023


