Curation Note
Curated by Younggi P. Tanaka
Alpha Contemporary の開廊記念シリーズ Korean Contemporary “Now” and “Next” の第四弾として、Japanese and Korean Contemporary “Next” vol.3「酔え(Get Drunk)」— 大矢 加奈子、チョン・リョジェ 展 を開催する。
Korean Contemporary “Now” では、国際的な舞台でも活躍する韓国の中堅作家を中心に、現在の韓国アートシーンを紹介する。一方、Korean Contemporary “Next” では、1980年代生まれを中心とした日韓同世代のアーティストに焦点を当て、次世代の表現を提示する。
本展は、フランスの詩人シャルル・ボードレールの散文詩「酔え(Enivrez-vous)」に着想を得て構成された。ボードレールはこの詩の中で、私たちの肩に重くのしかかる「時間」という暴君から逃れるためには、常に何かに酔っていなければならないと語る。
酒に、詩に、美徳に——人はそれぞれの方法で現実に身を委ね、日常を生き延びる。
大矢 加奈子 (Japanese b.1983) の作品は、現実と幻想、白昼夢のあわいを漂うような心象風景を描き出す。赤やオレンジに覆われた画面空間は、鑑賞者と絵画世界との境界として機能すると同時に、実在と虚構、日常と非日常が溶け合う場として立ち現れる。そこには、酔いの中に潜む不安定さと、それでもなお酔いを求めずにはいられない切実な欲望が映し出されている。
一方、チョン・リョンジェ (Korean b.1984) は、3Dプリンティングと伝統的な金属工芸の技法を用い、身体と装身具の関係性を探究する。
デジタルによって無数に複製されたチェーンは、未確定な集合体として出力され、着用者の身体や動き、重力によって初めて形を成す。
弾性をもつポリアミド製のチェーンは、身体のわずかな動きにも敏感に反応し、揺れ、流れ、きらめきながら形を変えていく。
その軽やかな振動や色彩は、身にまとう者に高揚感や遊び心をもたらし、まるで祝祭やパーティーの始まりに感じるような、心が少し浮き立つ瞬間を想起させる。
作品は鑑賞者/着用者の存在によって完成され、身体感覚を通して生じる快楽や緊張、そして一瞬の「酔い」の感覚が、作品の意味をさらに拡張していく。
極めて私的な空間で、日常の些細な事柄や自分自身に一瞬でも酔うことができたとき、私たちは時間の重圧からわずかに解放される。本展は、そうした「酔い」の感覚を通して、現実と向き合うための別の視点を提示する。
私たちは今、何かに酔っているだろうか。
大矢 加奈子は、2006年に東京造形大学美術学部絵画専攻を卒業し、2008年に東京藝術大学大学院美術研究科絵画専攻修士課程を修了した。
2008年に群馬青年ビエンナーレ大賞、2009年には第28回損保ジャパン美術財団選抜奨励展にて優秀作品賞を受賞している。
作品は群馬県立近代美術館をはじめとする日本国内の主要な美術機関および団体に収蔵されている。
チョン・リョンジェは現在、韓国を拠点に活動している。2016年に国民大学大学院金属工芸学科を修了後、韓国、ヨーロッパ、アメリカ、中国、日本、台湾など、国内外で個展、グループ展、アートフェアに参加してきた。
アメリカ、韓国、スペイン、イタリアにおいて工芸およびジュエリー分野での受賞歴を持ち、作品はソウル工芸博物館およびベルリンのDeutsches Technikmuseumなど、国内外の主要機関に収蔵されている。
常に酔っていなければならない。
それがすべてだ。
時間という恐るべき重荷を感じずに生きるためには、
絶えず酔わねばならない。
酒に、詩に、美徳に――
何に酔うかは、あなた次第だ。
— シャルル・ボードレール
「酔え(Enivrez-vous)」より
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